羊水または絨毛を使用したWGS(全ゲノムシーケンシング) 出生前胎児性別鑑定
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羊水または絨毛を使用したWGS(全ゲノムシーケンシング)

羊水または絨毛を使用したWGS(全ゲノムシーケンシング)は、妊娠初期に先天性疾患の原因となる変異を有するか遺伝子を構成する1塩基単位で調べることができる検査です。

出生児の3-5%は、先天性疾患(先天異常)を持って生まれてきます。その原因の25%は、染色体の異常(トリソミーやモノソミー、転座など)です。単一の遺伝子が原因の先天性疾患は20%と染色体が原因の場合とほぼ同じくらいの割合です。さらに、複数の因子(環境と遺伝子変異の複合要因)が原因の先天異常は50%に達します。そのため、遺伝子の変異が原因の先天性疾患の割合は、染色体の異常が原因の場合よりも多いとも考えられます。

先天性疾患の原因と発生頻度の円グラフ

また、染色体異常(トリソミーやモノソミー)は、年齢が高くなるにしたがって頻度が高くなります。そのため、年齢が若い場合には、染色体異常よりも遺伝子の変異が原因の先天異常の方がハイリスクとの報告もあります。

この羊水または絨毛を使用したWGS(全ゲノムシーケンシング)は、全ての遺伝子を塩基配列レベルで調べることにより、両親からの遺伝だけではなく新規に生じた突然変異を含めて疾患の原因となる可能性のある変異を持っているか妊娠初期に調べることのできる検査です。


先天性疾患は、トリソミーやモノソミー以外にも

出生児の3~5%は、先天性疾患を持って生まれてくることが知られています。

その原因の25%は、染色体異常(トリソミーやモノソミー、転座)です。トリソミーは、1対の染色体が3本になっている状態です。人の染色体は、通常2本の染色体で1対となります。しかしトリソミーでは、染色体を1本余分に持っています。トリソミーで有名な先天性疾患は、ダウン症候群です。ダウン症候群では、21番染色体が3本になっています。モノソミーは、逆に染色体が足りず1本しかない場合のことです。例えばターナー症候群では、性染色体であるX染色体が1本だけのモノソミーとなっています。

先天性疾患の原因の約半数は、多因子病(遺伝子の変異と環境因子の複合要因)です。生活習慣病など、これまで遺伝子の変異が原因と考えられていなかった疾患も、ゲノム解析が進んだ結果、疾患との関連のある変異が見つかるようになりました。そのため、現在では多くの疾患が、個々の遺伝子変異だけでは疾患につながらないが複数の変異が組み合わさった時に発症する多因子(複合)遺伝と考えられています。

一方で、特定の遺伝子の変異が原因の先天性疾患の割合は、20%とトリソミーなどの染色体異常より少し低頻度です。しかし、多因子病が遺伝子の変異が影響していることを考えると、何らかの遺伝子の変異が原因の先天性疾患は、染色体異常よりもかなり高頻度である可能性があります。

若年層では、単一遺伝子の変異による遺伝性疾患の方が高頻度

染色体の数的な異常の頻度は、女性の年齢に依存していることが知られています。女性の年齢が高くなるにしたがって、染色体の数的異常を持った卵子の割合が上昇します。そのため年齢が高くなると、受精卵や胎児がトリソミーやモノソミーの可能性が上昇します。そこで35歳以上では、NIPT(新型出生前診断)や絨毛検査、羊水検査が推奨されます。

年齢が若い方は、染色体の数的な異常(トリソミーやモノソミー)のリスクは年齢が高い方ほどは高くありません。むしろ年齢が若い方は、単一遺伝子の変異が原因となる先天性疾患の方が、トリソミーやモノソミーよりも頻度が高いという研究があります。

単一遺伝子の変異が原因の疾患は、稀に胎児の形態に異常を生じ超音波検査で異常が見つかる場合があります。しかし、通常のPGT-A(PGS)やNIPT、絨毛検査、羊水検査では、単一遺伝子の変異を見つけることはできません。その結果、出生後に異常が見つかることがほとんどです。

遺伝性疾患の保因者

単一遺伝子の変異が原因の疾患は、劣性遺伝(潜性遺伝)という遺伝形式です。この遺伝形式では、正常な遺伝子と疾患を引き起こす変異のある遺伝子が対になっている場合には、疾患を発症しません。この状態を保因者(キャリア)と呼びます。疾患を引き起こす変異のある遺伝子がそろった場合にのみ発症します。

保因者(キャリア)であるかは、疾患を発症しないため外見から判断をすることができません。そこで偶然同じ遺伝性疾患の保因者同士がカップルとなった場合、25%の確率で両親から疾患を引き起こす変異のある遺伝子を受け継いで疾患を発症します。

もしあらかじめ保因者スクリーニングを受けて保因者であることが分かっていれば、PGT-M(着床前診断)により、影響のない胚を選んで妊娠することが可能です。

突然変異の頻度

しかし保因者スクリーニングも万能ではありません。日々疾患の原因となる遺伝子の変異が見つかるため、保因者スクリーニングでは疾患の原因となる遺伝性変異をすべてカバーできていない可能性があります。さらに突然変異を生じ、両親ともに正常な遺伝子を持っているにもかかわらず、お子さんが先天異常を生じる可能性があります。

もっとも突然変異が生じる確率は、1塩基当り1×10-8と非常に小さな確率です。しかし、人のゲノムは3×109塩基からなっています。そのため、世代ごとに約30塩基(30ヵ所)に新たな突然変異が入る計算になります。さらに男性の突然変異は、卵子の染色体異常と同様に年齢が高いほど確率が高くなるという研究結果があります。

このすべてが先天性疾患の原因とはなりませんが、突然変異が入る場所によっては先天性疾患を発症する可能性があります。当然この新規の突然変異は、保因者スクリーニングやPGT-Mで防ぐことはできません。

出生前に先天性疾患の原因となる可能性のある変異を検出可能

染色体異常ではなく、遺伝子の突然変異が原因の先天性異常は、PGT-A(PGS)やNIPT、絨毛検査、羊水検査、超音波検査で見つけることはできません。しかしWGS(全ゲノムシーケンシング)であれば、全ての遺伝子について塩基レベルで調べるので、そのような先天性疾患の原因となる可能性のある変異を検出可能です。

羊水または絨毛を使用したWGSの検査方法

WGSでは、まず絨毛または羊水から胎児のDNAを抽出します。この抽出したDNAをNGS(次世代シーケンサー)にかけて、ゲノム全体の塩基配列を1塩基単位で調べます。読み取った塩基配列を、両親の塩基配列と比較して遺伝性疾患の原因となる変異が無いか調べます。

ゲノムには、タンパク質の設計図となるエクソンと、それらをつなぐイントロンなどのノンコーディング(タンパク質の設計図とならない)の部分があります。タンパク質の設計図となるエクソンに変異があると、多くの場合正常なタンパク質が作られなくなります。ノンコーディングの部分はタンパク質の設計図とはなりませんが、タンパク質の量や作られる場所や時期を制御する部分が含まれます。そのためノンコーディングの部分の変異も、遺伝性疾患を発症する可能性があります。このWGSでは、ノンコーディングの部分を含めて文字通りゲノム全ての塩基配列に変異が無いかを調べます。

羊水または絨毛を使用したWGSの限界

ただし、WGSも限界があります。突然変異には、臨床的影響が不明の物があります。また将来の研究により判定が変わる可能性があります。そのため現在は疾患との関連が無いと考えられる変異が、将来疾患と関連することが明らかになる場合や、逆に関連がないことが分かる可能性もあります。また体の一部の細胞のみ突然変異を有するモザイクの場合、突然変異を見逃す場合や、疾患を発症する変異が検出されたにもかかわらず発症しない場合もあります。

さらに遺伝性疾患は、変異ごとに浸透率や表現度が異なるため、疾患を発症する変異が検出されたにもかかわらず発症しない場合もあります。NGSは、まだ完成された技術ではありません。そのため塩基配列の読取精度は非常に高いものの100%ととは言えず、変異を見落とす場合や、誤って疾患の可能性があると判断する可能性があります。


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